ぺんぎんぺくしゅ

ハローワークのブラジル人版をご存じ?【CIATE】

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日本からBon dia!

前回紹介しました外務省事業Juntos!!の一環で、サンパウロにあるCIATEという機関にお邪魔させていただきました。

 

タイトルにもありますが、この機関、ブラジル人版ハローワークのような役割をしているのです。

ciate - hello work - brasil - sao paulo ですね。

では踏み込んで、世界一わかりやすい説明をしていきます!

 

 

ブラジル人版ハローワーク?CIATEとは

 

まずCIATEは、ポルトガル語の正式名称 Centro de Informação e Apoio ao Trabalhador no Exterior の略なんです。

日本名だと、国外就労者情報援護センター

ちなみにCIATEの読み方は、シアッチです。(かわいい笑)

ポルトガル語ってteの発音が「チ」に聞こえるんだよね。

こんばんはの「Boa noite」も「ボアノイチ」だし。。。

 

 

CIATEは、簡単に言うと、日本での就労を希望する日系人やその配偶者に情報を提供し、その権利を擁護する機関!

デカセギブーム開始をうけて1992年に設立された、非営利社団法人です。

さらに厚生労働省の外部委託機関となっており、このような情報提供を行う団体の中で、日本とブラジルの両政府公認の唯一の団体なのです!

 

その設立の背景はというと、、

1990年の入管法改正

これによって、3世までの日系人が定住者の在留資格によって日本で就労することが認められました。

この影響で上記のデカセギブームが起きました。

が、悪質なブローカーを介して訪日するケースも多く、来日後のトラブルが絶えなかったそう。。。

そこで、日伯両国政府の外交取決めによってCIATEが設立されたというわけです!

 

 

 理事長は、二宮正人さん。

弁護士。長野出身だが、5歳の時に移民としてブラジルのサンパウロに行き、小学校から大学までブラジルの教育を受ける。

東京大学の大学院に留学していたこともあるそう。現在は帰化しており、ブラジル人として生活しているようです。

 

 

参考までに、CIATEの公式HPはこちら。

www.ciate.org.br

 

基本のお仕事3点

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 CIATEがやっていることはたくさんあるのですが、ざっくり分けるとこの3つです。

日本に行く人だけでなく、ブラジルに帰ってきた人の支援も行っている点がポイントです!

 

➀日本に働きに行くブラジル人の支援

➁日本からブラジルに帰ってきた人の支援

➂日本語教室

 

➀日本に働きに行くブラジル人の支援ですが、

相談業務を通して、日本での就労に必要な情報をすべて無料で提供しているのです!

その具体的な内容は、、、

求人情報
文化、習慣、日常生活
労働法制
社会保険(疾病、高齢、失業、労働災害
年金一般(厚生年金、国民年金
日本ブラジル社会保障協定

 

一番上の求人情報に関しては、愛知県の求人をポルトガル語に翻訳するなどもしているようです。


また便利なことに、電子メールなどによるインターネットを通じた相談にも応じているそう!

 

 

しかししかし、、実は今はかつてほどは、多くないようなんです。

はじめはCIATEを通じて訪日就労する人が多かったようですが、リーマンショックを機に訪日就労者の数が激減したそうです。

また、日本語能力試験のN2という高い日本語力を条件にしている求人でも、日本人の感覚からするとあまり労働環境がよくないものばかりなんだそう。

これも、以前に比べてブラジルからの労働者が減った原因の一つですね。

 

ですが、2016年以降、訪日就労者が再び増加しているようですね。

ブラジルの景気の悪化や日本の労働者不足の影響だそうな。

 

 

➁日本からブラジルに帰ってきた人の支援

日本から帰国したブラジル人の多岐にわたる相談に対処しているようです。

その内容は、

年金相談、渉外離婚、相続、日本における親族の刑事事件、訴訟など、、、、

本当にたくさん!

 

日伯両国にまたがる法律相談の件数が多いようですね。

この影響で、専務理事として弁護士が日本から派遣されています。

 

➂日本語教室

CIATEの日本語教室は、日本語学校とは違います。

日本で働きたい人を対象としており、就労の準備活動の一つとされています。

日本の労働市場が求める年齢層に対応して、日本語教室は、18歳から55歳までの年齢制限があるそう。

 

そして、CIATE日本語コースの講師が、モジュールと呼ばれる配布資料をデカセギに行きたい講習生専用に用意しているそうです。

 

で、取り扱っている内容がまたすごいんです!

自動車工場で使われている文章、電化製品の名前などを厳選しているようです。

ちなみに「弁当屋」というワードも教わるみたいですよ(笑)

確かに弁当って日本独特の文化だもんなあ、、

 

日本語の感覚を身に付けて日本に行けるようにするのが狙いなんだそう。

使える日本語を学ぶ。こういうのって本当に大事ですね。

 

週に一回、3時間の授業が6週間。

文法クラスは8つのモジュール、漢字クラスは6つのモジュールに分かれています。漢字クラスでは合計300もの漢字を習得できるそうですよ。

かなりきっちりした日本語教室ですね。

 

ちなみに、ポルトガル語バージョンのCIATEのHPを見てみたら、”decasségui” という単語を見つけてびっくりしました(笑)

日本語だった「デカセギ」という言葉は、そのままポルトガル語になっているようです(笑)

 

 

まだまだこんなこともしてるよシアッチ

上記➀②の基本体制は相談業務でしたが、それに加えて、研修会や講習会の開催もしています。

 

例えば、、
日本で就労する方々のための準備講座の実施
時事問題や関心事項に関するセミナーや研修会の実施
サンパウロ以外の都市での巡回CIATEの開催
日本語講習会(職場で必要な会話)
注目事項に関する意識調書の実施

など

 

驚くことにこれらの研修会、講習会もすべて無料で提供されているんです!

 

あと、年に一回、国際シンポジウムも行われていたりするそうです。

シンポジウムの内容は、CIATEのホームページに回ごとにPDFが載っていますよ。

 

 

専務理事として日本から弁護士を派遣!?そのわけは?

 

さて、今回CIATEにお邪魔し、お話をしてくださったのは、専務理事の浅野さんでした。

最初、お堅い方かと思ったのですが、優しくてフレンドリーな方で、説明もかなり分かりやすかったです。

↓このお方です。参考までに。

www.oricon.co.jp

 

そう、この記事のタイトルにもありますが、浅野さんは弁護士なんです。

 

なんでわざわざ弁護士を日本から派遣して専務理事にしているの?

こう思いませんでしたか?

最初聞いたとき、私はすごく疑問に思いました。

 

日伯両国にまたがる法律相談が大変多いと先ほど書きましたが、もちろんこれが第一の理由です。

しかし、他にも狙いがあります。

それは

ブラジルの事情に精通した弁護士を増やすことで、在日ブラジル人に対する司法サービスを強化すること。

 

なるほど、日本ブラジルの両国のブラジル人にとっても良いということですね。

国際委員会では、サンパウロへの赴任希望者を募集したり、ブラジルへの司法視察旅行や法律事務所での研修を企画したり工夫しているそうです!

 

 

 

さあ、日系ブラジル人のためのとっても便利な機関、CIATEについて理解して頂けたでしょうか?

次の記事では、また別の日系ブラジル人関連の機関について紹介します。お楽しみに!